特集月:2009年6月
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ぎふ家づくりの本web
住まいづくりを通して考えるエコロジー。
 ゲリラ豪雨などと言われ、今年も地球温暖化の影響と思われる現象が全国で起きた。もちろん、日本のみならず、世界各地で様々な災害が発生し、大きなニュースとなっている。21世紀は環境に対する配慮なくして、物事が成り立たなくなっている。テレビや新聞などマスコミで取り上げられることも多く、暮らしに身近な問題として、高い関心を寄せる人も増えているようである。利便性や経済性を追求しすぎた結果、引き起こされてきた環境破壊という問題。私たちができることは何か。住まいづくりを通して、エコロジーについて、少し考えてみたい。



季節感のズレで実感する環境破壊による大きな変化
 2008年も夏の前半までは、異常と思えるほどの酷暑が続いた。その後は、思いのほか涼しくなって、若干拍子抜けしたものだが、暑さのピークが年々、早まっているように感じられる。ヒートアイランド、地球温暖化…。日本だけでなく、地球全体が確実に温度上昇し、環境に大きな変化をもたらしている。「気温変化にびっくりしたサクラが季節外れに花を咲かせた」など、確実に変化はおきている。「日本の四季はいずれなくなってしまう!?」が現実のものとなってしまうかもしれない。


岐阜市の平均気温(気象庁:気象統計情報より) 身近なところから、環境への取り組みを始める
 環境悪化が急速に進む中、人々の意識も確実に変わりつつある。今年はガソリン価格が異常な高騰を見せたことから、省エネとともに環境にも注目が集まった。しかし、単に掛け声だけで終わってはいないか。意識を高めることはもちろん重要だが、それが行動に移らなければ環境破壊を食い止める手立てにはならない。小さなことでも、自分たちでできることに積極的に取り組む。近年は、危機的状況を敏感に感じて、身近なところから環境に対する取り組みを始めている人も増えつつある。“小さなことからコツコツと”である。

豊かな森林資源をいかに活用するべきか
 それでは、私たちが暮らす岐阜県はどうだろう。86万6千ヘクタールの森林面積を有し、面積では全国第5位、森林率は82%で全国第2位である。“木の国・山の国ぎふ”を裏付けるデータであるが、残念なことに、豊富な森林資源の活用がなかなか進まない現状がある。その大きな要因として木材取引価格の低下が挙げられる。外国からの輸入材の価格が安価なため、需要がそちらへ流れ、森林が豊富にあるにもかかわらず、活用が進んでいない。結果として、下刈りや間伐などが行われず、森林の荒廃を招き、森林によってもたらされる治山治水効果は低減し、以前に比べて土砂災害などを多く引き起こす要因にもなっている。


高い保水効果。見直される森林の果たす役割
 森林浴という言葉があるように、人は森の中を歩くだけで、気分が癒され、リフレッシュした気分になる。森の存在は、実は私たちの暮らしに多くの働きを持っている。中でも近年特に注目されているのが、森林の保水力だ。森林の土は柔らかく、隙間が多いため、森林の土の中は水がゆっくり流れる。それにより、川の水を一定に保ち、洪水の発生を防ぐ効果がある。また、地球温暖化を防ぐ働きとしても樹木の存在は欠かせない。京都議定書では、日本が目標に掲げた二酸化炭素削減6%のうち、3.8%は森林による吸収でまかなうとしているように、森林は、地球温暖化対策にとっても大きな構成要素を占めている。
小学生による間伐体験の様子
小学生による間伐体験



森林は私達のくらしにとって大切な多くの働きを持っています
豊かな水を育み、洪水を和らげます
豊かな水を育み、洪水を和らげます
森林の土壌はスポンジのようになっていて、多くの水を貯えることができます。森林に降った雨はゆっくり川へ流れ込み、洪水を和らげます。
草木無しの土地が雨水を貯える量を「1」とした時、森林が雨水を貯える量

災害(土砂崩れ)を防ぎます
災害(土砂崩れ)を防ぎます
樹木がしっかり根を張って、土や石をつかんでいるので、土砂崩れを防ぎます。
地球温暖化を防ぎます
地球温暖化を防ぎます
樹木は成長するときに、地球温暖化の原因となっている二酸化炭素を吸収し貯蔵しています。
人ひとりが呼吸により出す二酸化炭素の量…年間320kg
車が出す排気ガスの二酸化炭素量…年間2300kg
木材等を生産します
木材等を生産します
私たちのくらしに必要な木材や山菜、キノコなどを供給します。木材を使うことは私たちのくらしを豊かにします。
多様な生物を育みます
多様な生物を育みます
森林は、多種多様な野生の動植物の生息・生育の場となっています。
安らぎ、潤いを与える生活空間です
安らぎ、潤いを与える生活空間です
森林は美しい景色、川のせせらぎや小鳥のさえずり、すがすがしい香りなど、安らぎ、潤いを与える生活空間です。

県産材を建築建材として積極的に利用する木の家づくり
 森林と住まいづくりには、大きな関わりがある。木材の利用として家具や雑貨など様々な用途があるが、やはり大量に消費する住宅の果たす役割は大きい。住まいづくりに県産材が利用され、さらに多くの活用が進めば、木材の大きな需要を生み出す。それによって、県内の木材産業が活性化すれば、下刈りや植林なども進み、豊かな森林が再び蘇るというわけである。
 木は二酸化炭素を吸収し、幹や根に炭素として蓄えている。木を伐って資源として使っても、そこに再び木を植えれば、新しい木が二酸化炭素を吸収する。
 木は、鉄やアルミニウムなど他の資材と比べて、少ないエネルギーで製造することができる。そして木の家一軒分の木材(20m3)が蓄える二酸化炭素は、大人一人の呼吸で出る二酸化炭素のおよそ40年分に相当する。身近なことから始められるエコライフ。県産材で建てる住まいづくり、積極的に取り組んでみたいものである。

東濃ヒノキ
東濃ヒノキ
ヒノキを使った家づくり
ヒノキを使った家づくり
県産材住宅
県産材住宅

「地産地消」の住まいづくりを考えてみる
 “地元の木を使って家を建てる”。食材などでも、最近よく聞かれる言葉として「地産地消」という言葉があるが、岐阜県の木を積極的に使って家を建てることも、まさしく「地産地消」の考えに沿っている。岐阜県の木材を使用して住宅1棟を建設すると、岐阜県の森林約1ヘクタールの間伐が進む。それによって蘇った健全な森林1ヘクタールがもたらす水源かん養、災害防止、潤い環境作りなどの公益的機能の換算額は年間約270万円に相当する。
 また、はるか遠い外国から切り出された木材を日本に運ぶために使うエネルギーと、それにともなって排出されるCO2を考えれば、地元岐阜県の木で家を建てることの効果・価値がご理解いただけるだろう。
岐阜県は、岐阜の木を使った家づくりを応援している。詳しくは2009年版「ぎふ家づくりの本」236・237Pに掲載されているので、住まいづくりの一助として役立てていただきたい。


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