特集月:2006年1月
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ぎふ家づくりの本web
暮らしを助ける機能をプラスした 高齢者仕様住宅・エレベーター付き住宅/高齢者仕様の住まいづくり。未来にゆとりと安心の設計を。


ゆったりとした高齢者の一人暮らし


リハビリを取り入れた住まいづくり
 Mさんは去年、病にかかり入院をすることに。手も不自由になり、当時は歩く事も困難になってしまった。そのときに息子さんがリハビリの先生にアドバイスを聞いて自宅の離れを改築することに。ここからMさんのための家づくりがスタートした。未来ホームの社長に医師のアドバイスをすべて伝えると、社長もそれに理解を示し、さらに住みやすいようにとキッチンには広いカウンター、玄関には大きな手すりといったアイデアを提示してくれたという。そして完成したのが車椅子でも生活できるような家。Mさんは退院後、リハビリをかかさず、今では一人で歩けるようになったという。その1つが家でできるようにと外に作った歩行用スロープ。Mさんはここが一番のお気に入りで、毎日のように歩いているという。洗濯物もここで干せるため、「リハビリを兼ねた家事ができるので便利」と笑顔で語ってくれた。
 アプローチにもスロープがあり、玄関には大きな手すりがある。手すりにつかまって靴もはけるし、階段ではないので足に負担がかからず、楽に外出できるようになっている。そのおかげもあって、Mさんはよく外出されるという。

身体をいたわる優しさを、そのまま生かした快適な生活
 体が不自由だと、なかなか思うとおりに動けない時がある。そういったことを考え、医師のアドバイスを生かし、見事に実現をしている。例えばトイレ。ここではトイレの間取りを部屋の中心に配置し、リビングと寝室の両側に入り口を作り、どちらからでも行けるようにした。最初はMさんも、その間取りに驚いたが、使ってみるととても便利だという。
 キッチンには対面式の広いカウンターを設けた。車椅子でも使用できる高さにテーブルがあり、食事を楽に取れるようになっている。移動の時はつかまって歩くこともできて用途もさまざま。リビングと寝室にある大きな窓からは暖かい光が差し込み、風も充分に入るのでとても快適。天窓もそれぞれついているので、昼間はやわらかい光が部屋を照らしている。窓についているシャッターの開閉も、ボタン1つでできるようにリモコンをつけた。台風続きだった夏だったが、力を使わず閉められるシャッターがとても役立った。
 家には友人やお客さんがよく訪れ、とても過ごしやすい家だと褒めてくれる。そのたびにMさんは「あなたもこんな家にするといいよ」とアドバイスをするそうだ。

取材協力:未来ホーム株式会社 お問い合わせ:TEL.0583-80-7022



1階で暮らし、2階で就寝


上り下りが苦にならないエレベーター。
 名古屋市に母娘2人で暮らすIさん。高齢のお母様は、交通事故で膝を痛め、ゆっくり歩くことはできるが、上り下りの時は膝が痛むという。また、Iさん自身も、10年ほど前に乗馬をしていた際に、落馬し、足を痛めたという。普通に歩く分には、ほとんど支障はないが、重い荷物を持って階段を上る時には、膝が痛むという。そんな2人暮らしであるが、Iさんは仕事を抱えている。お母様には、自立した生活を送ってもらわなければならない。そのため、2階建てでありながら、エレベーターを導入することとなった。
 当初、階段に昇降機を取り付けることも計画した。コスト的にはエレベーターと比較して、随分安価で済むからである。しかし「やはり使いづらいですよね。昇降機をつけてしまうと、階段が圧迫されます」とのこと。階段の傾斜は緩やかにしてもらい、Iさんは時折、階段も利用している。
 2階建てでエレベーターというと、一見贅沢のようにも感じる。しかし、膝に持病を抱えるお母様にとっては、階段の上り下りはかなりきつい。

住環境のハンデと体への負担を軽減するエレベーターは2階建てでも有効。
 それでは階段を使うことのない、1階のみで暮らせばいいと考えるかもしれない。もちろん、それも可能であるが、I邸は名古屋市内の住宅密集地。日当たりは決して良いとはいえない。布団を干すにも、洗濯物を乾かすにも、2階の方が数段勝る。そのため、Iさんとお母様の寝室は、それぞれ2階に設けてある。これなら布団を干すのも至極簡単。洗濯機は1階に設置されているが、エレベーターに洗濯物を乗せて運ぶことができるから、膝の痛みも気にせず、2階のベランダに行くことができるというわけだ。
 エレベーターをつけることで、寝室は1階でなければならないなどといった、間取りの制約から解放されるわけである。
 I邸は、車椅子での暮らしも念頭において設計されている。玄関までのアプローチは長めに作られスロープがつけられている。廊下幅は広く、トイレもゆったりした作り。エレベーターは、3人乗り200kgタイプ。気になる費用だが、設置にかかる費用は170万円程度。メンテナンス費用として年間5万円程度のコストがかかる。しかし、空間の制約をなくし、暮らしを便利にしてくれるという点では大きなメリットがある。

取材協力:株式会社現代設計事務所 お問い合わせ:TEL.0584-89-6663


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